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パンドラ Vol.2 SIDE-A(2008AUTUMN)

あんまり体調がよくなくて、このブログの更新を1カ月ほど行うことが出来ないでいた。仕方がないので引きこもり気分で小説やら評論やらゲームやらアニメやら映画やらドラマやら、とにかく手当たり次第に手を付けていた1カ月であった。その末に自分の中で猛烈な勢いで90年代後半からゼロ年代前半のブームが来てしまい、西尾維新や佐藤友哉や滝本竜彦や上遠野浩平の古い作品を読み返したり、「ガンパレード・マーチ」にハマってみたりして、この10年についてや次の10年についてじっと考えていた。これはとても楽しい作業で、かなりいろいろなことに見通しが立てられた気がする。その内容は、このブログにも反映させていこうと思う。出力するばかりでなく、再読によってここまでの状況を見直すことはとても大切なことだった。引きこもるのもたまにはいいものだ。

さて、まだ全部読んでいない本について書くのは忍びないのだが、僕がそんなことをしているうちに「パンドラ」の最新号が出た。僕はこの中で「東浩紀のゼロアカ道場」のレポート記事を書かせていただいている。ゼロアカ道場についてこのブログに書いたことはないと思うが、実は僕はこの批評家発掘イベントの第二回と第三回を一見学者として拝見させていただいた。はじめに見に行ったときは、西島大介君とやる漫画教室イベントの参考になればよいと思っていたのだが、ゼロアカ道場自体がとにかく非常に面白く、また拝見していていろいろと思うところが多くあったので、今回レポート記事を書かせていただけたことはとてもありがたいことだ。

レポートの内容は、いやしくも批評をテーマとするイベントに対して、単に「現場はこんな感じでした」というだけのものを書いてもつまらないので、ゼロアカ道場というもの自体に批評的な視線を加えて、東浩紀や講談社BOXが何をやろうとしているのか、また参加者たちの行動が今の若い批評の現場に何をもたらそうとしているのかということを論じようとしている。そうするために、見学の折に参加者たちとお話しさせていただく機会があったり、あるいはウェブ上でゼロアカ道場に言及できるタイミングがあったときにも、この企画自体にはなるべく多く言葉を挟まず、あくまで第三者的に、観察者として振る舞うようにしてきた。おかげで記事の内容は、いかにも提灯記事というものではなく、内輪ノリなものでもなく、ゼロアカ道場というものを正しく突き放して書いたものにできたと思う。

しかしそれと同時に、記事においては「批評」という取っつきにくそうなものに似つかわしいような堅めの文体を用いるのではなく、バトル漫画の「解説キャラ」のような立ち位置に自分をおくようにしてみた。ゼロアカ道場とは「新しい批評家を発掘する」というものだが、それは一種のリアリティショーとして成り立っており、現場はまるで「批評家バトルもの」というジャンルの漫画のような演出が加えられ、またそれが見事に成功している。だから僕はその場において「魁!!男塾」の登場人物が「も 桃ーっ」とか叫びつつ説明口調でバトルで繰り広げられる技に解説を加えるような役割を自分に与えてみたわけだ。文体は「カイジ」と「バキ」と「MMR」を寄せ集めたようなものにしてあり、ご一読いただけば、どことなくバトル漫画的な説明口調をもって、ゼロアカ道場というものがどういうふうに盛り上がっているのか、またそれに今どんな意味があるのか、そして今後の課題として考えられるものは何なのかをご理解いただけるというちょっと変わったものになっている。こういう伸び伸びとした文章を印刷媒体に書くのが久しぶりな僕としては、書いていてとても楽しかった。しかもこのゼロアカ特集は「パンドラ」の巻頭特集であり、かつ結果的に僕の文章が事実上の冒頭を飾る文章となったようだ。大変な僥倖である。今回の「パンドラ」にはなんと目次が付いていて(「ファウスト」や「パンドラ」を知る人にとってはこれはわりあいに驚くべきことなのである)、その目次の先頭に「さやわか」という僕の筆名を載せていただいていて驚愕した。せっかくですからよかったらぜひ載せられた記事をご覧ください。ゼロアカ道場については、11月9日の文学フリマにて同人誌の販売部数を競うという第四回関門が行われる予定で、僕もまた同人誌を買いに走りたいと思っている。とにかくはじめは一見学者であったはずが、今や先がどうなるのかすっかり目が離せなくなってしまった。文学フリマはまだ一度も言ったことがないのだが、今から楽しみだ。

さてこの「パンドラ」だが、先ほども書いたように、残念ながらまだゼロアカ道場の特集以外のすべてのページに目を通すことはできていない。だから細かなことをここに書くことができない。しかし、編集長が今号から変わったことによる変化ははっきりと出ているように感じた。前号までとは誌面のイメージが大きく変わったように思う。ページ数の多い漫画が多くあるのと、新人作家が多く書いているせいか、ポップでフレッシュな印象の誌面になったようだ。また前号まではおもちゃ箱のような、良い意味で雑多な印象の雑誌だったが、今号は整った編集方針が感じられるように思う。

個人的には小柳粒男、泉和良、針谷卓史という講談社BOXが推している「危険な新人」の三作を最近すべて読んでいろいろと思うところがあったので、彼ら三人の新作をまずは読んでしまいたいところだ。アンディー・メンテのジスカルドこと泉和良についてはもちろんだが、小柳粒男についても「くうそうノンフィク日和」「りべんじゃー小戦争~まち封鎖」をとても興味深く読んでおり、このブログにおいて後で記事にしてみる必要を感じているため、今号の作品を読むのも楽しみにしている。「くうそうノンフィク日和」の表紙には「さあ叩け!」という煽り文句が付けられているわけだが、騙されてはいけない。この言葉によって作品は明らかに読み解かれるのを待っているのだ。このような挑発には、我々は断固として乗るべきなのである。

「ファウスト」と「パンドラ」のカラーの違いも今号ではより明確に出ているように思う。蓋し、今号においてよりはっきりとなった編集方針とは、当初から「パンドラ」が目的の一つとしていたであろう、今後の講談社BOXを担う新人育成の場としての雑誌であろうとするというところではないだろうか。「新しい小説」「新しいライトノベル」「新しい批評」「新しい漫画」という、いわばマーケットにおける「新しい商品」を準備しようというのではなく、「新しい人」を見出すという目的で、まずは今回の「パンドラ」は舵を切り始めたように僕には思われた。

2008.10.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | [文章

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