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アニメージュ2000年2月号

会社に行ったらなぜか「アニメージュ」の2000年2、4、5月号が捨ててあったので拾う。まったく乞食である。特に2月号が気になった。2月号ということはおそらく2000年の1月売りの号なわけで、90年代のアニメについての年表や総括的テキストがよくまとめられている。これはいいものを手に入れた。普段古本屋巡りなどをしていればこの手のモノはすぐに見つかるのであろうが、どうも最近は足が遠のいているためこのような偶然がなければ手に入れることもない。

この本は表紙が「フリクリ」のマミ美で、鶴巻和哉と貞本義行の対談が載っている。第一巻が3月末日2800円で「いよいよOVAリリーススタート!」とあり、つまりこの対談は発売前に行われたものだ。

鶴巻 ちなみに!僕は、21世紀派ですから。なのでミレニアムとか、今さら騒がれても…ねぇ。僕は21世紀は2001年からって昔から言ってたほうだし。
貞本 わ、いやな子供。昔から変わってないんだ(笑)。
鶴巻 そうス(笑)。でも、21世紀になったら、ガラッと変わると思う。
貞本 「フリクリ」はそのための。
鶴巻 そうそう、20世紀最後の。


などの記述が大変に感慨深い。そうかーフリクリは20世紀の最後を象徴した作品なのだなあ。たしかに21世紀に状況はガラッと変わったのだろう。むしろ変わらないわけがないんだが、やはりその変化とは、この本で語られている90年代を総括した文章に既に兆しが現れているものばかりだろう。ネットが普及したおかげで視聴者の基本スタンスが「語る」というものになったとか、「アニメの供給過剰」は「ガンドレス」などの形で既に破綻を迎えているとか、2006年の現在において重要と思える考察が多い。90年代に芽生えた問題が00年代に引き継がれているわけで、まあ当たり前なんだけれど。

違和感を感じた部分は「90年代は80年代末期の停滞が終わって訪れた、ヤマトやガンダム以来のアニメブームだった(そしてそれは再び停滞期に入るだろう)」それから「90年代は声優ブームだった(そしてそれは終わった)」という内容だ。どちらについても、00年代においてはそのブームがさらに拡大もしくは拡散してしまう状況を予測できていないのだろう。たぶん、その拡散の原因として、さっきの「オタクが語る」とか「供給過剰」の話題がクローズアップされてくるのが00年代なのだろう。

ただ、現在を正確に予知できていないからこの本は正しくないなんて話ではない。そういう見方は間違っている。むしろこの本は90年代のアニメ周辺の人たちの意識を知る上でとても役に立つ。たとえばこの本には「アニメファンのための作品」という言葉がよく出てくるのが面白い。今は作り手も視聴者もいろんな作品に拡散してしまって、それから「アニメファンのための」という言葉の意味も多様化してしまって、結果としてもう「アニメファンのための作品」という言い方は成り立たないだろう。90年代においてはまだそういう言い方ができるような状況があったんだろう。それからこの本は00年代を「供給過剰によってヒット作が減り、結果として停滞する」と予測している。その見方は、予測の建て方として間違っていないと思う。2006年の現在においてなお、そういうことを言いたがる人は多そうである。しかし現状として00年代は供給過剰が維持され、同時に視聴者は「アニメファンのための作品」であるかどうかを問わずに「語る」ようになったのだ。彼らはその大きなコミュニティを維持し、作品の質だけでシーン全体の停滞を語ることはできなくなった。少なくとも今は、停滞も飽和も1つの状況として捉えられるほどにコミュニティは安定し、成熟しており、そういう意味でアニメを取り巻く状況は00年代に停滞せず、むしろ拡大している。そういう中でどういう作品がヒットするようになったかについては、別の話なのでタイトルは出さないでおこう。

それから「声優ブーム」についてだけれど、僕はこれを読みながら、以前加野瀬さんとばるぼらさんがネットラジオで「オタクとサブカル」について話していたのを思い出した。このラジオの話はたぶんユリイカの増刊にあった「オタクvsサブカル!」に繋がっていくんだけど、そこにたまたま僕もいたのだ。で、そのときに加野瀬さんはオタク的なモノについて「机の上で完結する」という定義をされていて、そこで僕は「イベントに行ってオタ芸を打つような声優オタクとかアイドルオタクはその定義に含まれないのではないか?」という疑問をちょっとだけ述べたんだけど、あまり明快な回答はもらえなかった。今加野瀬さんがどう捉えられているか分からないけど、そのときは「アイドルオタクはサブカル(中森明夫的)なものであって、声優オタクもその流れにある」という説明だった。それはそれでなかなか筋の通った説明だと思うんだけど、でもやっぱり引っかかる。だってアイドルオタクだって「オタク」ってわざわざ名前に付いてるし、「あれは何か」と問われたら、一般的にはやっぱり「オタク」なのだ。「オタク」と名に冠されているのに、加野瀬さんが彼らをそのとき省かざるを得なかったことについて、実は僕はずっと考えていたんだ(1年以上もの間)。

で、最近思うのはたぶん「アイドルオタク」や「声優オタク」は90年代的な「オタク」の範疇から外れているのだろうということだ。だからユリイカの増刊で90年代カルチャーを語るキーワードとして提示されているような「オタク」にはマッチしないのだ。ということで、この本で語られている三石琴乃、宮村優子、林原めぐみを頂点とする「声優ブーム」も同様である。重要な媒体としてラジオのみが取り上げられており、既にそれなりの影響力を持っていたはずの声優によるコンサート活動などについては全く触れられていない。この本で同様にさほどの重要さをもって捉えられていない、「ライトノベル」や「ギャルゲー」と、そしてこの本ではまだキーワードとして成立していない「萌え」と同様なのである。それらは90年代の尺度で語り得るものではなく、つまり00年代的なものであり、「ガラッと変わった21世紀」に直結するものだったのだろう。だから00年以降を考える上では常に頭の隅に入れておきたいことだと個人的には思う。

2006.12.13 | | コメント(0) | トラックバック(1) | [アニメ] [文章

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アニメージュ[雑誌辞典]

アニメージュアニメージュ(Animage)は徳間書店から1978年5月に創刊された月刊アニメ雑誌である。現存するアニメ雑誌では最古参にあたり、創刊20周年を迎えたのを機に1998年7月号からリニューアルを敢行、誌名を『Animage』と変更したが、2002年7月号にはカタカナ表記の『

2007.02.05 | 雑誌辞典

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