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サウスパーク「Episode 1009 - The Mystery of the Urinal Deuce」

サウスパーク第10シーズンの「The Mystery of the Urinal Deuce」が非常に面白い。このへんで見られる。スクリプトはここ。しかし話が複雑なので物語を読み解くためのメモを作成してみた。サウスパークではもう1つ喋るタオルのタオリーが初登場する「Towelie」の回も一度ちゃんと見直したいと思っている。関係ないけど。さて以下が僕が作成したメモだが、物語の大筋と無関係なシーンを省いてあると同時に、ただ筋と笑いどころが指示してあるような文章が嫌いなので僕の考えなどを付け加えて書いてある。だから映像を見たままでは全くないし、あらすじとしても正確ではない。

学校のトイレで小便器に1の代わりに2をした奴がいる。すなわち小便(1)ではなくウンコ(2)した奴がいる。校内カウンセラーのマッケイさんは許せないということで犯人探しを始める。

ジミーは誰がそんな意味のないことをするのか?と疑問を呈する。カートマンはこれは911のように何かの陰謀だと言い出す。

911(アメリカ同時多発テロ事件)が陰謀であるとするアメリカ国民の主張の多くは、陰謀の首謀者は米国政府そのものであり、政府はテロをでっちあげて世論を煽り、中東派兵を正当化する口実を作ったのだ、というものらしい。一部の世論調査では、このような陰謀説を支持するものが全回答者の1/3にまでなっているという。

マッケイさんは警察を呼び、小便器にウンコをしたのには何らかの理由があるに違いないとするが、警官は「しかし小便器にウンコして誰が何の得をするのか分からない。この謎は自分には大きすぎる。ハーディーボーイズを呼んではどうか」と言う。

ということで「ハーディーボーイズ・小便器にウンコの謎」の巻となり、ハーディーボーイズが呼ばれる。二人が謎に対して何ら具体性もなく「clue」(手がかり)という言葉を口にし、「手がかりを見つけた」とか「手がかりを見つけそうだ」「その手がかりを追うぞ!」などとひどくチンケというか薄っぺらいというか子供だましなことを言うのがここは面白いんだと思う。ハーディーボーイズを僕は読んだことがないので正しいかどうか分からないが、たぶんそんな感じ。ハーディーボーイズは少年少女向けの探偵小説で、詳しくはここ

一方カートマンはカイルと口論。911陰謀説はデタラメだと言うカイルに対し、アメリカ人の1/4が911を陰謀だと思っている、アメリカ人の1/4がバカだというのかと言う。カイルはそうだと答える。スタン、カイル、カートマン、ケニーのメインキャラ4人のうちカートマンだけがバカだから、1/4で合っていると。

カートマンの主張は911はユダヤ人に牛耳られている政府や企業の陰謀であるということ。「貿易センタービルのタワーは2つ、つまり1と1で11。貿易センタービルのオーナーであるシルバースタイン不動産(ユダヤ系)の理事会は9人構成、すなわち911」。そして「11に1を足すと12であり、12には1と2がある。誰かが1用便器で2をしたように。911に1と2を足すと914で、そこから4を引くと91。それは911事件の12日後にカイルが取ったテストの点数だ。従って911の首謀者はカイルで、小便器にウンコをしたのもカイルだ」とする。

要するにこの911陰謀説とは「MMR マガジンミステリー調査班」的なオカルトである。だがみんなはカートマンの言うことを信じてカイルに近寄らなくなる。それをカイルから聞いたカイルの母親は、子供が911で精神的に混乱しているため学校がなんとかすべきだと訴え出る。ところが保護者の中にも陰謀説を信じているものがいて足並みが揃わない。マッケイさんはそんなことどうでもいい、小便器にウンコした奴は誰なんだと言うが、全然聞いてもらえない。

このへんから911事件とウンコの事件がストーリー上で混乱させられてしまい、大変面白い。カートマンが言った陰謀説を発端に、いつの間にかウンコ事件の犯人ではなく「911を裏で操作しているのは誰か」がメインの謎とされてしまう。刑事(名前忘れた)が「この謎は自分には大きすぎる。ハーディーボーイズを呼んではどうか」と言って、再びハーディーボーイズが呼ばれる。「ハーディーボーイズ・貿易センタービル陰謀事件」の巻。ここで謎はさらに「ここに2つあったタワーが消えた。一体誰がやったのか?」に置き換えられてしまう。ハーディーボーイズは「ビルが消えて誰が得をするのか?手がかりが見つかったぞ!」などと話すし、この謎が、陰謀があることを前提に「誰が得をするのか?」という発想で手がかり探しを行う少年向け推理小説のフォーマットにキレイに落とし込まれていることが分かる。

一方、スタンがカイルの元に来る。「カイルが911と無関係である」という証拠を持った組織をネットで見つけたと言い、二人でそのサイト制作者に会いに行く。しかし彼は911Truth.orgの人で、カイルはむろん無関係であり、つまり911の真実は政府の陰謀なのだと話し始める。要するに自分のせいにされていないだけで、カートマンとは別の陰謀論者なのでカイルはガッカリ。

そこへ警察が押し入り、カイル、スタン、911Truth.orgの男の3人はホワイトハウスに連れて行かれる。大統領は高圧的な口調で話し始める。なんと911はやはりイラク侵略による利益を狙った政府の陰謀だったのだ。秘密を知ったものとして911Truth.orgの男は銃殺される。カイルとスタンも殺されそうになるが、ホワイトハウスから脱出する。「帰ったらみんなに真実を話そうぜ」とするスタンに対し、カイルはやけに簡単にホワイトハウスから逃げられたことをいぶかしむ。そこで何と死んだはずの911Truth.orgの男と鉢合わせる。彼は逃げだし、追い詰めると「言われたとおりにしただけだ」と言うが、突然現れた老人に銃殺される。老人はスタンとカイルに着いてくるように言う。

老人の家に二人は連れて行かれる。自分を探偵であると言い、スタンとカイルは裏切られたのだと告げる。そこへハーディーボーイズが現れる。老人はハーディーボーイズの父だった。ハーディーボーイズは誰が小便器にウンコをしたのか調べていて手がかりを発見した。その手がかりから911の陰謀者へと導かれ、さらにそこで手がかりを得た。それらの手がかりは911の陰謀説を科学的に否定するものだった。ここでも「手がかり」という言葉が漠然と示され続けるのが面白い。

真相は、911陰謀説のサイト運営者が政府である、つまり「911陰謀説が政府の陰謀だ」というものだった。アメリカ政府は自分たちが世界のすべてを支配していると国民に思わせたいのだ。企業やメディアを操って、「政府が911をテロに見せかけている」ように信じさせ、国民に政府を恐怖させたいのだ。

そこへホワイトハウスで会った大統領以下政府高官が現れる。カイルがなぜ本当のことを言わないのかと問うと、大統領は「言ったけど、国民の1/4はバカだから信じない。彼らは911が陰謀であり、自分たちが政府にコントロールされていると思いたいんだ。だったらそれを利用するよ」と言う。

そこでふとハーディーボーイズの父が気づき、なぜここに自分たちがいると知ったのかを大統領に尋ねる。するとスタンがカイルに銃を向ける。スタンは政府のスパイだったのだ。「おとなしく家に帰るべきだったなdude」。スタンはすべては計画だったのだという。カイルは驚いて、一体なぜスタンはこんなことをしたのか聞く。スタンは「おれだからだ。小便器にウンコしたの」と言う。

ここで911事件に大きく傾いていた物語はいきなりウンコ事件に戻され、再び混乱する。つまりウンコ事件が911事件と関わりのある陰謀であるとカートマンのような奴に信じ込ませることで、ウンコ事件の真犯人であるスタンは別に犯人がいると思わせることができ、また政府は911陰謀説をさらに広めることができる。ふたつの事件でハーディーボーイズが述べていた「誰が得をするのか?」の答えがこれである。カイルは「ちょっと待って、じゃあ911事件は誰がやったの?」と言う。スタンは「何言ってんだ、超怒ったイスラム連中だろ」と答える。ハーディーボーイズもスタンに同意し、カイルに「何だお前パーか?」と言って政府高官を含む一同大爆笑。おわり。


全体を通して見るとジミーが最初に言ったウンコ事件に「意味がない」ということが、911陰謀説の「意味のなさ」と対になっているようだ。逆に言うと911事件自体にはごくシンプルな意味だけがあり、「誰かが得をする」なんていう「陰謀」つまり隠された意味など入る余地はない(それが最後のオチだ)。「それで誰が得をするの?」という子供だましの問いは、それによって誰が得をするのか分かりづらいもの、すなわちウンコ事件や911陰謀説に対しての方が、少なくとも911事件自体に対する陰謀説よりは、まだ成り立ちやすいということである。

あと要するにスタンはカイルに罪を着せてたわけで、これはけっこうひどい奴だ。カートマンはいつも通り無知で恥知らず。バターズはバカ。

2006.12.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | [アニメ

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