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拝啓、父上様

だんだん忙しくなってきたので「拝啓、父上様」の第三話をまだ見られていない。今仕事をしながら見るのを試してみようと思ったのだが、最初の交通標識が映るだけのカットを見た瞬間、あきらめた。倉本聰のドラマは、このように話の合間に風物が挿入される。「北の国から」に見られたキツネや兎の姿のように。あのようなカットは一瞬しか挿入されないが、あれを見なければ倉本聰のドラマにならない。だから仕事をしながらチラチラ見るというわけにはいかないように思われたのである。

しかしこのドラマについて今語るのは難しいように思う。最も大きな理由として、まだこのドラマは始まったばかりだからだ。特に今どきのドラマとしては極めて異例なことだが、このドラマは全話のシナリオが完成してから撮影に入ったそうなのである。つまりこの物語は先の展開が完全に決定づけられているわけだ。先が決まっているとなると、今までの部分だけで軽々しく評価できるようにはなかなか思えないだろう。

しかし最初から台本が決定されているということは、脚本家である倉本聰も含めた全スタッフが筋を理解し、計算し尽くした上で物語を提供するという、連続ドラマではあまり類を見ない作られ方を招いてくれそうで興味深い。作り手の全員が、「次に視聴者に何を明かして何を隠したままでいようか」と考えつつ面白く語ろうとしてくれていると考えるのはなかなか楽しい。役者達の実に安定した演技(一話で二宮和也が携帯で話すシーンはひどかったが)も、その思いに拍車をかける。話のうまい人というか、落語の名演などを見せられているような感じだろうか。

その代わり、ここには危なげない要素しかない。この物語のベクトルがこの先、今とは違う方向に強まるかどうかは視聴者である僕には分からないが、まずないことだとは思う。だから、これは派手なところの何もないドラマだと言われればおそらくそうだとしか言えない。しかし、このドラマは泣くために用意されたドラマなどではないのだから、それでいいのである。そもそも家庭の崩壊を題材にしたおかげで暗い印象の強い「北の国から」だって腹を抱えて笑えるような楽しいシーンがたくさんあるし、お涙頂戴の物語などではないのである。だが「拝啓、父上様」に至っては、「人情コメディ」というふれこみだから当然なのであるが、もっとずっと明るい。既に運命づけられた明るい物語を小気味いい語り口で語ってくれるのが見ていて大変に心地いい。深刻さとか社会性なんてどうだっていいのである。作品として上質であるかどうかということに、そんなものは関係ない。

タイトルからも分かるとおり、このドラマは明らかに「前略おふくろ様」を意識している。梅宮辰夫や八千草薫が出ていて、東京の料亭が舞台なのは偶然ではない。主人公の青年によるモノローグが全編にわたって入っていて「北の国から」の純を思い出す人もいるだろうが、これはもともと「前略おふくろ様」で使われた形式だ。だからそちらを意識したものだと考えた方がいいだろう。モノローグには「ドキドキしていた……」など、純を思い出させるものもあるが、しかしそれは過去作品に対する言及を織り交ぜて視聴者を楽しませようとするサービスではないかと思う。全くこのドラマは、視聴者に楽しんでもらおうという高いホスピタリティが感じられるのだ。それはいいホテルのようで、舞台である神楽坂も、そうした心地よい物語にはふさわしいように思う。

2007.01.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | [映像

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